とある子猫のイノベーター理論。一人の人生を動かした一匹の子猫は今天国で。

【それでもぼくが目を覚まし、今日も起きる。そんなわけは。】

 

 

こんにちは。ライターのたけるです。

 

 

人間と動物がお互いを大切に、仲良くできる世界を考えています。

 

そして、こんなWebメディアをやってます。

 

なんででしょうね。

 

気になる方もいるでしょう。

 

 

なんで、人じゃなくて動物なの?

 

 

なんで、そこまでして動物のことを考えるの?

 

 

なにが、あなたをそこまで動かすの??

 

 

 

 

だから、お話ししようと思います。

 

ぼくが、動物との未来をここまで本気で願う理由を。

 

そう願うようになった経緯を。

 

 

赤裸々に、全部全部さらけ出して。

 

 

 

 

 

ところで、ぼくは、物語が大好きなので。

物語のような文章で書いていきたいと思います。

 

一種の短編連載のような

 

そんなものにしていきたいと思います。

 

これは、ぼくの経験のノンフィクションですが

 

 

どうぞ、ひとつの物語のようにとらえていただいて大丈夫です。

 

 

読みやすいように。

 

皆さんの心に届くように。

 

 

取り上げるお話はあんまり人に話したことないものばかりです。

 

 

 

正直、少し怖いです。

 

 

 

結構怖いです。

 

 

 

 

 

それでも伝えたいものがあるから。

 

ぼくは、筆を取ることにします。

 

 

それでは、始めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈序章〉

「ひとつがぜんぶ。」

 

 

 

 

 

 

ひとつがぜんぶなんだ

 

 

 

 

「ぜんぶが大切なんだ。」

そう言って、君はさも悟ったかのように目をそらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「百人を救うためなら一人を殺せるよ」

そう言って君は笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、死んでるから。」

と君は当たり前のように言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そらした目は赤く、

 

 

 

 

 

 

 

悲しそうに笑ってて。

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで、自分を説得するかのように言い放っていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言葉のあやじゃない。

 

 

ひとつひとつが唯一で。

 

 

同じもの二つと存在しない。

 

 

そう。

 

 

二度と、同じものは生まれない。

 

 

その子はその子で全部だった。

 

 

その命で、すべてだったんだ。

 

 

命とは一度きりだ。

きっかり一度きりなんだ。

 

 

 

 

その目も

 

鼻も

 

すがたかたちすべて。

 

 

笑い方も

 

しぐさも

 

温度も。

 

 

 

なにもかも、それがすべてだったの。

 

 

たったひとつで

 

 

かけがえのなかったもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくが、動物を守りたいと思う中で。

 

 

 

人と動物で、一緒に生きていける社会を目指す中で。

 

 

 

 

倫理と合理の葛藤の中で。

 

 

 

 

今日も、目を覚まして生きるわけ。

 

 

 

顔洗って歯を磨いてご飯食べて

 

 

 

 

いってきます。って言う

 

 

 

 

そんな理由を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈第一章〉
「君の顔がどんなに素敵なのか分からなかったけど、どうか天国では笑っていて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨の強い日だった。
レインコートを忘れたことを恨みながら、自転車で帰り道を走っていた。髪から滴る水滴で視界が霞む。ふと、視界の隅に黒いなにかが写り、何故かブレーキを踏んだ。それが全ての始まり。今これを書いている理由。物語の序章は大抵悲しみから始まるものだ。そして、この物語の始まりは、黒い小さな子猫だった。車に轢かれた子猫だった。
小さな小さな、子猫だった。

 

 

それはとても猫と呼べる代物ではなかった。黒くて雨と泥に汚れたかたまりだった。何回も何回も、体のの何倍もある車輪に轢かれて。無力に水溜まりに横たわり、また、車から跳ねた泥水を浴びる。唯一原形を留めていた前足の肉球が、これは猫だと証明していた。
生きていたんだと証明していた。

 

 

 

レインコートに雨が当たる音がくぐもって耳に響く。映画のワンシーンのように、雨を浴びながらそれを見つめた。それは、可愛い、癒しだ、と好き好まれる野良猫の最期だった。短すぎる生の終りだった。不条理に奪い取られた、死神すら望まぬ、そんな死だった。

 

 

 

黙って手を合わせ、頭を垂れる。
そして、その場を後にした。後ろ髪を微かに引かれることを感じながら。

 

 

 

帰宅後も、そのままに放置した罪悪感に支配されていた。無意識に検索をかけた。そして知恵袋が言った。「あまりに可哀想で。庭に埋めてあげました。」

 

 

 

 

両手で顔を覆った。指の隙間から雨が窓に打ち付けるのを見つめた。薄暗いリビングで、雨の音が大きく響いた。

気づけば衝動のままに体は動いていた。段ボールとビニールを片手に、足は再びペダルを漕いでいた。

雨が強い日だった。

 

 

 

車の往来の隙をうかがって、哀れな亡骸をそっと包んだ。前足をそっと包んだ。そっとそっと包み込んだ。そっと、そっと。雨が強い日だった。すごくすごく強い日だった。視界は見えなくなるくらいに霞んでいた。

 

 

亡骸の運び屋は自転車を使った。ひどく小さな亡骸だったから、籠に収まってしまう。目頭は熱く、雨が染み込んだ背中は冷たかった。
震えながら、泣いていた。
すごくすごく、泣いていた。

 

 

爪の隙間に泥が挟まる。緩んだ庭を無言で掘り返していた。いっぱい掘った。たくさん掘った。ひと掬い掬いが、人間が犯した罪の償いのように思えた。膝が汚れるのも気にならなかった。ただひたすらに手を動かしていた。行きどころのない感情が心臓を絞めつけて、身体中を駆け回った。

 

 

ごめんね、と子猫を持ち上げた。水を吸って少し重かったけれど、元々はきっとすごく軽いのだろうな、となんとなく思った。
さよなら。と不格好な穴の底に横たえた。不格好でも、一生懸命掘ったんだ。だから、許しておくれよ。
君を最後に見送るのが、君のお母さんや兄弟でなくてごめんね。君を殺した二本足と同じ種族で、本当にごめん。ごめんね。
これからの一生を奪ってごめん。
君が生きていればこれから触れたであろう
おいしい食べ物や
太陽のあたたかさや
お母さんの温もりや
兄弟とじゃれる権利を
奪ってしまって、本当にごめんね。
申し訳ない。
本当に申し訳がない。

 

 

そうして、上から少しずつ土を被せる。優しく小さな体に土が積もっていく。大地が、抱き止めてゆく。ひどい死臭が、雨と土の匂いで薄れていく。金属の味がした。嗚咽が止まらなかった。込み上げてくるなにかを、押さえ込むことはできなかった。雨に震えて、鳥肌が立っていて、言い表せない感情に包まれながら、泣いていた。とても悲しくて、とても綺麗な感情だった。

 

 

こんもりとした塚の上に、そっと石をのせて墓標に例える。刻んでやれる名前を知らなかった。たぶん名前などなかった。名も無きものに、再び手を合わせた。天国で日向ぼっこができるように。原っぱで走り回れるように。おいしいご飯をお腹いっぱいに食べられるように。その目が、喜びで輝くように。手を合わせ、祈った。生まれて初めて、心から神にすがった。

 

 

 

 

 

 

「 君の顔がどんなに素敵なのか分からなかったけど、どうか天国では笑っていて。」

 

 

 

高校二年生の夏。

 

 

 

【文/たける】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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